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3Dレンズ の 製作 (Old Camera)
3Dレンズ の 製作

3Dレンズの製作 ステレオベース:20mm の 3Dレンズを作る 2015/12/10

(目次)(概要)(更新日)
3Dレンズ製作のきっかけ製作の動機・理由など
1.設計
(1) 設計上の考慮点仕様の決め方
(2) 仕様数値化してみた
(3) 計画図寸法を測りながら絵をかいてみた
(4) 部品図製作に必要な絵をかいてみた
2.製作
(1) 主要材料主な購入部品
(2) 部品の製作と加工寸法を正確に作れば組立が楽
(3) 組立と調整最後は削っては確認の繰り返し
3.まとめの一言中距離撮影用として使います
4.撮影例
(1) 最短距離での撮影撮影距離:レンズ前 5cm位
(2) 近接撮影撮影距離:20〜50cm位
(3) 中距離での撮影撮影距離:1〜2m位
(4) 中〜遠距離での撮影撮影距離:1m〜∞位





  3Dレンズを作ろうと思ったきっかけ

  (1)「LUMIX H-FT012 12.5mm F12」にヘリコイドを付けてみて
    このヘリコイド付きマウントアダプターが使える事に気付きました
    そこで、レンズ遊び用に入手した「SONY α7 mk2」のフルサイズセンサー用に
    ステレオベースの大きなレンズを作ろうと思い立ちました

  (2)ボディーキャップレンズは安価で、そのレンズユニットは非常に小型です
    「何か面白い使い方はないか」と思っていました
    ライカサイズ(36x24)は、ちょうど Micro4/3(17.3x13)の2倍の幅になります
    レンズユニットは約φ16mm位で、ヘリコイド付[LM-NEX]の鏡筒内寸はφ36mmで、
    レンズ2本がちょうど収まりそうです



1.設計

  (1)設計上の考慮点

   (a)前提条件
    ・ボディーキャップレンズのレンズユニット(φ16mm)を使う
    ・ヘリコイド付きマウントアダプター(LM-NEX)を使う

   (b)ステレオベース(SB)をどれだけにするか  結論:SB=20mm
    立体感重視の場合は、SB=20mm
    マクロ撮影用の場合は、SB=16mm
    最小は16mm:レンズユニット直径がφ16mmなのでこれ以下に出来ない 
    最大は20mm:レンズ鏡筒(マウントアダプタ)内寸36mmの制約でこれ以上に出来ない
    撮像素子を最も効率的に使うには長辺の半分の18mmが良い
    中央部は左右の画像の重なりが出来て使えないのでその分広くする

   (c)どんなデザインにするか  結論:レンズらしいデザイン
    レンズ部のほとんどはマウントアダプタの鏡筒の内部に収まるので
    前面から見えるのは、インナーフードと2個のレンズだけです
    [L39-LM]マウントアダプタを覆うサイズ(φ52mm)の保護フィルタを付けて
    レンズキャップを付けられる様にしました

   (d)どんな構造にするか  結論:ライカMマウント
    「LUMIX H-FT012」を改造した時と同じ構造(ライカMマウント)にして、
    「LUMIX H-FT012改」も付けられる様にします
    鏡筒内径さえ許せば、他のカメラのマウントアダプタ(LM-xxx)にも装着可能です
    「LUMIX H-FT012改」はマクロ撮影、このレンズは中遠景の撮影に使い分けます
    中央部の画像の重なりを防ぐ方法は、レンズ前両サイドにフードを付けて制限します


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(2)仕様
今回のレンズLUMIX H-FT012改(α)← (OM-D EM-5)
センササイズFull(36x24)APS-CM4/3
レンズf=15mm F8 SB=20mmf=12.5mm F12 SB=10mm
  横位置32mm相当(ラ)43mm相当(ラ)59mm相当(ラ)
  縦位置25mm相当(ラ)32mm相当(ラ)45mm相当(ラ)
撮影画像 (縦横比4:3の時の最大)
  横位置16x12mm x2枚11.8x8.9mm x2枚7.3x5.5mm x2枚
2666x2000pixel x2枚(α)1966x1483pixel x2枚(α)1941x1463pixel x2枚(OM)
  縦位置16x21mm x2枚11.8x15.7mm x2枚7.3x9.7mm x2枚
2666x3500pixel x2枚(α)1966x2616pixel x2枚(α)1941x2580pixel x2枚(OM)
撮影距離∞〜85mm(セ)、45mm(レ)∞〜65mm(セ)、25mm(レ)
像倍率 (最大約)0.33倍0.37倍0.33倍
撮影範囲 (最近接時)
  横位置48x36mm32x24mm22x17mm
  縦位置48x64mm32x43mm22x29mm
    
[注記] 3D撮影ではカメラを水平にして撮影する前提です
     セ:センサ面から、 レ:レンズ前端から、 ラ:ライカサイズ換算
     α:α7mk2の場合、 OM:OM-D EM-5mk2の場合
 
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  (3)計画図
計画図 (無限遠 と 約5mm繰り出した状態です)
  計画図の説明     (1)水色:ヘリコイド付きLM-NEX マウントアダプター(既製品・無改造)     (2)赤色:レンズホルダー部(今回主に製作した部品)     (3)黄色:L39-LM マウントアダプター(既製品・穴明け/タップ立て)     (4)緑色:(先端側)保護フィルター(既製品・無加工)        (レンズ側)フィルター枠(既製品・ネジ部削り取り)
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  (4)部品図
部品図 レンズ固定板            レンズフォルダー



部品図 レンズフード(初版)           レンズフード(最終版:画像の重なり調整後)
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2.製作   (1)主要材料
主要材料一式 BCL-1580 を分解した状態
  上左の写真     主要材料一式 (LMマウントレンズ部)     (1)ボディーキャップレンズ BCL-1580:2個(今回はユーズド品を某カメラ店で調達)     (2)L39-LM マウントアダプター(既製品をAmazonで調達)     (3)φ52mm保護フィルター(既製品をAmazonで調達)小型にするため今回は厚さ3mmを使用     (4)φ52mm??フィルター(既製品をAmazonで調達)厚さ4.5mm、枠のみ使用何でも良い   上右の写真     ボディーキャップレンズ BCL-1580 を分解した状態     中央のレンズユニットを使います     外回りのバネをうけている溝部分を削り落とします
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  (2)部品の製作と加工   レンズホルダは、低発泡塩ビ板を切り抜いて瞬間接着剤で積層しました   裏面のレンズ固定板と表面のインナーフード板は、硬質塩ビ板を切り抜いて作りました   組立用のネジは BCL-1580のものを流用(8本)、フランジへの固定用は M2(4本)を使いました
レンズホルダ裏面レンズホルダ表面レンズユニット(加工済)
レンズ仮組み仮組み表面仮組み裏面フランジ仮組み
組立前の部品一式  レンズホルダとレンズフードは黒艶消し塗装をしました
  組立前の部品一式   上段左から   (1)ヘリコイド付きLM-NEX マウントアダプター(既製品・無改造)   (2)L39-LM マウントアダプター(既製品・穴明け/タップ立て)   (3)フィルター枠(既製品・ネジ部削り取り)   下段左から   (4)レンズ固定板  硬質塩ビ板を切抜   (5)レンズユニット 2個   (6)レンズホルダー 低発泡塩ビ板を切抜・積層(今回主に製作した部品)   (7)レンズフード  硬質塩ビ板を切抜   この写真には写っていないもの   (8)保護フィルター(既製品・無加工)   (9)φ52mmレンズキャップ(既製品)
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  (3)組立と調整   組立はレンズホルダーにレンズをはめ込み、レンズ固定板で押さえます   レンズ固定板や前面のレンズフードはネジでレンズホルダーに固定しましす   ネジは、ボディキャップレンズを固定していた黒い小さなセルフタッピングネジを   流用しました   最後にフィルター枠を挟み込んでレンズフードをL39-LMに固定すれば完成です   このネジは手持ちのタップの都合でM2ネジを使いましたが、   正面から見えるのでもっと小さい方が良かったと思います   焦点調整はレンズホルダーの前面側で行います   今回は、レンズホルダーの厚みをオーバーインフになる様に製作したので   かなり削りました (無限遠にピントが合わない場合はシムを入れます)   例によって削っては「清掃・組立・ピント確認」を繰り返します   光軸合わせ(上下・左右・回転の調整)は、レンズフードとL39-LMの固定部分で行います   レンズフードの取付穴を長穴にして合わせ込み、M2ネジでしっかりと固定します   部品製作を正確に行なえば調整は少しで済みます
ヘリコイド付LM-NEX、     LMマウント3Dレンズ 3Dレンズを装着した状態、    レンズキャップ

無限遠に焦点を合わせた状態 最も繰り出した状態
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3.まとめの一言   OLYMPUSの Micro4/3用のボディーキャップレンズは、   正式なレンズとして扱われない「アクセサリー」に分類されています   しかし、その写りには定評があります   とにかくコストパフォーマンスがとてもよいのです   じつは、このボディーキャップレンズを入手した時から   「何か面白い使い方は出来ないか」と思っていました   改造で良く知られているのは中のレンズユニットを逆向きにして   マクロ撮影用にするものですが、今回は形や用途が異なるレンズに使いました   このレンズの守備範囲は、中遠距離用として SB=20mmに設定していますが   マクロ撮影用とする場合は SB=16〜18mm位がお勧めです   3D Photo/立体写真 好きの方々の参考になれば幸いです 4.撮影例  以下の画像はこのレンズで撮影したものです   左側は撮影されたそのままの画像を縮小したものです   ツインレンズの場合、左側に右目用、右側に左目用の画像が写ります   右側はステレオフォトメーカーで自動位置調整してアナグリフに変換・縮小したものです   アナグリフの画像をクリックすると、さらに大きな画像(よこ幅1366画素)が見られます   2段目はLRL形式の画像で左と中央の画像は平行法、中央と右の画像は交差法で見ます   元々Micro4/3用のレンズなのでフルサイズでは四隅がケラレますが、そのまま掲載しました
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(1) 焦点の合う最短距離での撮影(レンズ前約 5cm位)   SB=20mmのため、3D画像として立体視できる部分がここまで狭くなります   飛び出し過ぎの立体感の有る画像が出来ます   寒い時期のアブは動きも鈍く私でも撮影出来ました
最短距離で撮影画像(R・L)左の画像のアナグリフ
上の画像のLRL形式
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(2) 近接撮影(20〜50cm位)   3D画像として立体視できる画像の範囲も大きく   この位の距離では立体感も十分有ります   いくら広角レンズでもここまで近づくとバックがボケますが、そこそこ写っていました
近接撮影画像(R・L)左の画像のアナグリフ
上の画像のLRL形式
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(3) 中距離での撮影(1〜2m位)   中距離でもかなり立体感の有る画像が楽しめます   カトレア越冬用のポリカ製自作温室の内部です   広角レンズなので、たった2畳でもこんなに広く写ります   入口から写しましたが、天井近くの換気扇から床まで入っていました   ハーフサイズにf=15mmですから、ライカサイズ換算で約20mm相当でしょう
中距離の撮影画像(R・L)左の画像のアナグリフ
上の画像のLRL形式
(4) 中遠距離での撮影(1m位〜∞)  30度毎に12枚撮影して360度パノラマに合成しました
中遠距離の撮影画像(R・L)左の画像のアナグリフ
上の画像のLRL形式
駅前風景3D(アナグリフ)  (パノラマ写真は横幅が長過ぎるのでアナグリフのみで鑑賞可能です) 拡大する
パノラマ写真・撮影、自動スクロール表示に付いて 詳しくは こちら をご覧下さい





 ご覧頂きましてありがとうございます
 ホームページやブログで情報公開している方々の貴重な体験を活用させて頂きました
 オリジナルがある場合は参照出来る様に場所を示し詳細は省いています
 写真は全てオリジナルです (著作権は放棄しませんが営利目的以外は自由に使って下さい)
 内容に付いてはありのままを記載していますが、間違いや誤解があるかもしれません
 試す場合は全てご自身の責任で行って下さい


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