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キリン団扇台の実生接ぎ (Old Cactus)

キリン団扇の台木に実生苗を接木したものの記録です
  [1] 兜丸 [2] 鸞鳳玉 [3] 袖ヶ浦 [4] 緋牡丹錦 [5] 牡丹類 [9] その他のサボテン
接木方法や失敗談に付いては キリン団扇台の接木方法 を参考にして下さい
接下ろし・取木に付いては キリン団扇台の接下ろし方法 を参考にして下さい
台木の準備に付いては キリン団扇の増殖方法 を参考にして下さい

 試す場合は全てご自身の責任で行って下さい
 写真は全てオリジナルです。営利目的への使用はお断りします
 クローズアップ画像・撮影機材データ は こちら






【1】兜丸
[1]瑠璃兜 .................... (キリン団扇台の最初の成功例です)
兜丸1 1回目実生の一番小さな苗を接ぎました
活着しましたが、なかなか成長しません
2ヶ月後、急激に成長始めました
成功したのは、ビギナーズラック?
[2012/02/03] キリン団扇への始めての接木 穂木はただ乗っているだけです
[2012/04/18] やっと成長を始めました
[2012/10/05] 蕾がはっきり分かる様になってきました
[2012/12/25] 蕾が落ちて成長が止まってしまいました(腰折れ状態?)
[2013/04/21] 再起不能・枯死寸前(台木の衰弱が原因か?)


[2]瑠璃兜錦 (1) .................... (1本だけあった斑入りを接いでみました)
兜丸2 1回目実生苗で唯一斑入りのものでした
なかなか育たないので接いでみました
[2012/05/06] まだ寒い時期に接いだせいか、成長を始めるまで2ヶ月位かかりました
[2012/05/22] 一見斑が無い様に見えますが、ほぼ全体が黄緑色の斑です
         もっとクッキリした斑が出てくると嬉しいのですが
[2012/06/12] 3ヶ月後、裾の部分が膨れ上がり割れて仔吹きが始まりました
兜丸2 [失敗談]
順調に成長していましたが、
日焼・葉ダニ害で枯死しました
[2012/07/31] 全斑のため強光線・高温に弱く日焼けしてしまった
         枯れずに済んだが、日焼けの跡が痛々しい
[2012/09/18] 主頭は稜間を葉ダニにやられて枯死してしまった
[2012/08/16] 主頭に勢力を集中するため裾からの仔をカットし
         袖ヶ浦に接いでみたが、うまく着かず枯死しました


[3]瑠璃兜錦 (2) .................... (2回目の実生で見つけた斑入りです)
兜丸3 実生1ヶ月目位のものを、台木のなるべく先端の部分に接ぎました。  これは1ヶ月後位から成長を始め、接木後2ヶ月半で直径2cm位になりました。  これも裾の部分が膨れ上がり割れ始めています(成長割れか仔吹きかまだ分かりません)
斑はクッキリしています。 増稜中ですが、斑だけの稜と斑の無い稜が1稜づつあります。  実生して始めての綺麗な斑で、これからどんな顔になるか楽しみです。


[4]兜錦 (1) .................... (これは3回目の実生で見つけた斑入)
兜丸4 実生1ヶ月目位の苗を接ぎました。
接木直後は穂木がかなり持ち上がって中心部のみが着きました
時間とともに接続部が太くなり穂木の成長が始まりました
成長点がやや傷みぎみで、いきなり裾からも毛や刺が出てきました
[2012/06/16] 横からも仔吹きして3頭になりつつあります。
[2012/07/11] 3頭目が大きくなり、全体に星が出て兜らしくなった  裾側の仔は斑無し、横の仔は全斑の様です


[5]兜錦 (2) .................... (これも3回目の実生で見つけた斑入)
兜丸5 兜混合種子の苗の中から斑のあるものを見つけました
接いでから約1ヶ月位で成長が始まった
[2012/07/31] 稜も斑も鮮明に見えてきた、星が出ないのでルリ兜か?
[2013/04/11] φ38mm位、春になって成長を始め疣の綿毛が多くなった


[6]兜錦 (3) .................... (これも3回目の実生で見つけた斑入)
兜丸6 「兜錦[5]」と同時に接いだもの、こちらのが成長が遅い
[2012/07/13] 成長した部分は全斑で緑地は出ないかも知れない
[2012/08/28] 成長が止まっている、染みの様なものができた
[2012/12/25] 成長点付近を葉ダニにやられてほとんど枯死状態


[7]赤花兜 .................... (花を早く見たいので接ぎました)
兜丸7 「たにさぼ実生倶楽部」から頂いた種子
播種後80日位の苗を接ぎ2ヶ月で直径約21mm、
このシーズンは直径約30mmになった
[2012/04/03] 播種 たにさぼ実生倶楽部・(3108)赤花兜×兜 の種子
[2012/06/28] 接木
[2012/07/28] 星が出て兜らしくなって来た
[2013/04/04] φ36mm位、中心部に蕾らしいものが出てきた
[2013/05/01] 2輪開花(播種後13ヶ月) 早く花を見る目的は達成しました

兜7開花 播種後13ヶ月、接木後11ヶ月で開花ですが、
播種時期によっては1年未満での開花も可能でしょう
蕾から開き始めるまでは他の兜の蕾と比較してもかなり赤いので期待していました
開花してみると花びらの裏面は濃いピンクですが表側は黄色っぽい色です
細かくみると、外側に付いている花びらほど赤い様です
開花した日は温度が高かったせいか、夕方にはしぼんでしまい2日目は開きませんでした

兜7下し [2013/06/20]
穂木が重く不安定なため
接ぎ下ろす事にします
詳細は 接下ろし を参照



【2】鸞鳳玉
[1]ヘキルリランポー .................... (成長速度確認のため接いでみました)
鸞鳳玉1 碧瑠璃鸞鳳
種子:net1583さんから86粒譲受けました
播種:2012/02/27 発芽開始:03/01 発芽率:60%位
接木:2012/04/03(たぶん) 成長開始:05月頃
 ランポーは斑入り苗が無いため無地のヘキランを接いでみた
 接いでから1ヶ月位はあまり成長しなかったが、その後急成長を始めた
[2012/12/25] 最大径 48mm□、 寒くなって成長が止まっています
[2013/04/19] 最大径 60mm□、 春になり成長を始め蕾が見えてきました

鸞鳳1開花 [2013/05/01] 初花開花
[2013/05/20] 2番花開花
[2013/06/09] 2番花結実

鸞鳳1下し [2013/06/20]
穂木が重く不安定なため
接ぎ下ろす事にします
詳細は 接下ろし を参照



[2]恩塚ランポー .................... (早く成長させるため接ぎました)
鸞鳳玉2 恩塚ランポー
播種:2012/06/23 種子はjapan_ticet2007さんから譲り受けました
接木:2012/07/12 苗の中で一番毛深い苗を接いでみた
 接いでから2週間位で、先端の毛がさらに増え始めた
[2012/12/25] 主頭と仔が同じ位、寒いので成長が止まっている
[2013/04/06] 春になり成長を始め、主頭よりも仔の方が大きくなった

[2013/06/22] 播種から1年目(接木から10ヶ月余)、特徴が出てきました
鸞鳳玉2 主頭:綿毛が多く顔が見えない
大きな仔:成長中で稜が尖っている
小さな仔:成長が遅くふっくらしている


[3]碧方玉錦 (1) .................... (斑の多いものを接ぎました)
鸞鳳玉3 碧方玉錦の実生苗の中で斑の多い苗を接いでみました  緑の部分が少ないので全斑になってしまうかも知れません  接いでから約1ヶ月位でやっと先端に毛が出始めました  成長を始めて疣が出来始めるとすぐに仔吹きしてきました  上の方に2個並んでいるため、まるでミッキーマウスの様です
[2012/10/05] 穂木が弱ってきて黄色っぽくなってしまった(枯死寸前)
[2012/12/25] 完全に枯れてしまった(やはり全斑のものは弱いのか?)


[4]碧方玉錦 (2) .................... (斑の多いものを接ぎました)
鸞鳳玉4 碧方玉錦の実生苗で斑の多い苗を接いでみた
 (白っぽく薄緑色のまだら模様)
 約1ヶ月後に成長が始まり、すぐに仔吹きしてきた
 先端の疣から腐敗が始まり成長点が傷んできた
[2012/12/25] 腐敗は止まったが、葉ダニにやられて枯死寸前
[2013/06/29] 主頭だけ残り、植替え後回復してきた
[2015/07/14] 接ぎ降しのため穂木の下部でカット
[2015/08/15] カット後1ヶ月で発根してきた


[5]有星類不明種 .................... (早く成長させ品種を特定するため接ぎました)
鸞鳳玉5 有星類不明種
播種:2012/06/23 種子はjapan_ticet2007さんから頂きました
接木:2012/07/14 発芽苗の中の平均的なものを接いでみました
 接いでから2週間位で成長を始め、 約1ヶ月位、刺は出ず5稜の顔になりました
 ランポー系ではないかと思います 成長して特長が出てくれるのが待ち遠しいです



【3】袖ヶ浦
[1]袖ヶ浦 (穂木?) .................... (1日に1cm成長しました)
袖ヶ浦 本来、台木とする袖ヶ浦を穂木として成長速度を確認しました。  実生11日目の苗を接木して13日後失敗が分かったため接ぎ直しました。  接木後約1ヶ月目で急激に成長が始まりました。  1ヶ月半で5mm/日、2ヶ月目で1cm以上/日 成長しました。


[2]ルリ兜錦 (←袖ヶ浦←キリン団扇) .................... (袖ヶ浦に接ぎました)
キリン・袖台 キリン団扇に袖ヶ浦(播種1ヶ月)を接いで2ヶ月半、台木にできる大きさ(約30cm)になりました。  そこでさらに袖ヶ浦にルリ兜錦(播種1ヶ月)を穂木として接いでみました。  ルリ兜錦は、接木後成長を始めるまで約1ヶ月かかりましたが、成長が始まるとその速度は驚異的です。
接木をして約1ヶ月成長が止まっていたためか、急激に成長を始めて(芯が止まった訳では無くても) 多頭化してしまいました。

[2012/12/25] 長径46mm位になって、ハダニにやられた跡が目立たなくなってきました
[2013/04/11] 長径68×短径62mm位 全斑9頭、斑入4頭、計13頭になりました



【4】緋牡丹錦
[1]緋牡丹錦 .................... (ゴマ粒大の穂木を接木)
緋牡丹錦 緋牡丹錦 (No.3134)
種子:たにさぼ実生倶楽部さんから12粒程頂きました
播種:2012/04/03 発芽開始:04/09 発芽率:67%
接木:2012/06/16 成長開始:07/02頃
[播種後5ヶ月で]自根:φ2mm弱、接木:(主頭)φ22mm位、(仔吹含)φ30mm位
緋牡丹錦の種子は非常に細かくて、苗も最初は非常に小さいです。 斑入りの苗は、なかなか大きくなりません。
全斑のものは葉緑素が無くほとんどのものが数ヶ月の内に溶けて無くなってしまいます。
そこで早い内に接木をして確実に成長させようとするものです。  ゴマ粒大の穂木が接木できることを確かめました。

[2012/12/25] φ40mm位 寒くなって成長が止まりましたが 色は冴えてきて本来の色に近くなったと思います。

[2]緋牡丹錦 .................... (播種2週間目の苗を接木)
緋牡丹錦 緋牡丹錦(カブキ♀×ゼブラ♂)交配種子
種子:japan_ticet2007さんから譲受 (1果)
播種:2012/06/23 発芽開始:06/28 発芽率:90%以上
接木:2012/07/12 成長開始:07/25頃
[播種後30日位で]自根のものはφ2mm弱、接木したものはφ15mm位です。
蒔いて2週目、ゴマ粒大の苗を穂木として接木しました。 斑入りとは限りませんがとにかく顔が見えるまで育てます。

[3]緋牡丹錦 .................... (播種2週間目の苗を接木)
緋牡丹錦 緋牡丹錦(ゼブラ♀×カブキ♂)交配種子
種子:japan_ticet2007さんから譲受 (1果)
播種:2012/06/23 発芽開始:06/28 発芽率:90%以上
接木:2012/07/12 成長開始:07/25頃
[播種後30日位で]自根のものはφ2mm弱、接木したものはφ15mm位です。
蒔いて2週目、ゴマ粒大の苗を穂木として接木しました。 斑入りとは限りませんがとにかく顔が見えるまで育てます。
先端中心部はやや赤っぽい色をしていますが、斑入りかどうかまだ分かりません。


[4]緋牡丹錦 .................... (自家採種の種子からの苗を接木)
種親(♀) × 花粉親(♀) 斑入3兄弟  
全斑橙色 (♀)   緑地黄斑 (♂)   活着した3本  
この組み合わせで採種しました
種親が全斑のため種子が出来難いです
生えた苗は白い(全斑の)ものが多く、
ほとんど溶けてなくなりました
僅かに残ったものの中から4本接木しましたが、3本が活着しました
苗の数が少ないので、選抜の手間が省けて確実に斑入りが得られました

(1)赤斑(斑が多い株)
緋牡丹錦 採種:2012/10/08
播種:2012/10/10 発芽率:20%位
接木:2013/04/25
接木後30日位で成長を開始
苗の時は、地色が多かったが、成長するにつれ全体に赤い斑に覆われた
さらに成長して中心部に地色が現れ、良いバランスになってきた
台木の背が高く不安定なため取り木で低くした
[2013/07/06] 環状剥皮を実施 [2013/07/20] 上部から根が出たため切離し用土に植付

(2)赤斑(片斑の株)
緋牡丹錦 採種:2012/10/08
播種:2012/10/10 発芽率:20%位
接木:2013/04/25
接木後30日位で成長を開始
半分(5稜)は斑と地のバランスが良いが、半分(3稜)は全て赤い斑(片斑)
今は全て赤い斑の3稜も地色が現れるだろうか見守りたい
同じ日に接いだが(1)より一回り小さい

(3)地味斑(まだ良く分からない)
緋牡丹錦 採種:2012/10/08
播種:2012/10/10 発芽率:20%位
接木:2013/05/20
接木後30日位で成長を開始
これだけ1ヶ月後に接ぎました 地味斑の様ですが、まだ良く分かりません
成長点が痛んだ様で見当たりません、殆どの疣から仔吹きを始めています



【5】牡丹類

[1]亀甲牡丹 .................... (成長が遅いので速く成長させるために接ぎました)
亀甲牡丹 亀甲牡丹
種子:takesaboさんから67粒譲受
播種:2012/06/13(34粒蒔き数本生えた)
接木:2012/09/19(1本だけ接ぎました)
2013/01/29現在、活着した後秋から冬になってしまったのでまだあまり成長していません
接いだ時は疣が1個だけでしたが12月末頃から3個目の疣が見え始めました
よく見ると最初は台木より細かったですが、同じ位の太さになりました


[2]花牡丹 .................... (早く特徴を見るために接ぎました)
花牡丹 花牡丹
種子:たにさぼ実生倶楽部から頂きました
播種:2012/09/26(13粒蒔き6本生えた)
接木:2013/06/20(1本だけ接ぎました)
2013/07/10現在、活着して成長を始めました



【9】その他のサボテン
[1]多花玉 .................... (花を早く見たいので接ぎました)
多花玉 多花玉(実生兄弟株)
種子:japan_ticet2007さんから果実を1果(2000粒以上)頂きました
播種:2012/07/07 発芽開始:07/13 発芽率:90%以上

多花玉 多花玉(接木株)
接木:2012/08/05(たぶん) 成長開始:2012/08/20頃
[播種後60日位で]自根のものはφ2mm強、接木したものはφ13mm位です。

たにさぼ実生倶楽部さんから頂いた種子(No.2506)はなかなか発芽せず数本生えた中の1本だけが残りました。
その後、japan_ticet2007さんから頂いた種子は、 新鮮なためか発芽率が良く沢山生えたので接いでみました。
接いでから2週間位で成長を始め、 少し涼しくなったためか1ヶ月後には急激に成長して特徴が出始めました。

[2012/12/25] φ40mm位 寒くなって成長が止まっています
[2013/04/06] φ50mm位 また成長を始めた様です(中心部が新緑になった)
[2015/04/27] φ90mm位 一度赤ダニにやられて枯死寸前だったが、なんとか復活


[2]緋繍玉 .................... (花を早く見たいので接ぎました)
緋繍玉 緋繍玉綴化(No.2969)
種子:たにさぼ実生倶楽部さんから50粒程頂きました
播種:2012/05/18 発芽開始:05/26 発芽率:50%位
接木:2012/07/14 成長開始:2012/08/20頃
[播種後110日位で]自根のものはφ2mm位、接木したものはφ10mm位です。
こんな花が咲くそうです

たにさぼ実生倶楽部さんから頂いた種子を蒔いて60日位の苗を接ぎました。  種子が非常に細かく、発芽した苗も小さくてなかなか育ちません。
[2012/12/25] φ20mm位 寒くなって成長が止まり 成長点も痛んでしまった
[2013/05/02] 暖かくなって成長を始めました 3頭になる様です


[3]ゴールデン・ドラゴン .................... (元々成長は速いですが比較のため接いでみました)
Gドラゴン ゴールデン・ドラゴン(No.3157)
種子:たにさぼ実生倶楽部さんから24粒頂きました
播種:2012/04/03 発芽開始:04/06 発芽率:100%
接木:2012/07/14 成長開始:2012/08/26頃
2012/09/15現在、穂木の長さ25cm位です
ちなみにこんな果実の種子だそうです

種子を蒔いて3ヶ月の苗(10cm位)の先端1cm程を接ぎました。  元々成長は速いのですが、接木した方が早く太くなる様です。






Home > Old Cactus > キリン団扇の接木方法 [2013/06/20]
キリン団扇台の接木方法 (How to graft cactus)

キリン団扇の特徴
(1)台木にする場合の利点
 ・成長が速く増殖が容易 ・活着した後の成長が速い
(2)台木にする場合の欠点
 ・糸掛(架)けが出来ない(特に柔らかい先端に接ぐ場合)
 ・茎の直径が約5mm程度のため大きな穂木は接げない
  成長すると直径10mm以上になります
  袖ヶ浦などと比べると、肉の部分が無く髄と皮だけの様に見えます

以上の理由から、実生苗や小さなカキ仔を接ぐのに適しています

実生接ぎの方法 (接木直後の写真を参照して下さい)
(1)台木、穂木、刃物、湿度保持の容器(又はポリ袋など)を準備する
 ・場所は風が無い日陰で行う
 ・接木は素早く行い、とにかく台木や穂木を乾燥させない事
 ・実生苗は穂木の水分量が非常に少なく根元をカットしたものは数分で乾燥する
(2)台木を水平に切る
台木  ・穂木の太さと同じ位の位置で、なるべく先端に近い所
 ・必ず良く切れる新しい刃物(カミソリ等)で一気に切る
 ・刃物の刃は引きながら切ると良く切れる
  私の場合はなるべく葉を残す様にしています
(3)穂木の根元を水平に切る
穂木  (切り方は台木と同じ要領で)
  この牡丹の場合、白い部分から根ですので根際ギリギリで切りました
(4)台木の上に穂木を密着させ、中心の位置合わせをする
密着   穂木と台木の太さが同じ場合が最も理想的です
  この穂木は播種後6ヶ月位(大きくなり過ぎ、もっと早く接ぐべきでした)
(5)そのまま湿度保持の容器に素早く入れる
  接木直後の写真掲載が無いのは1秒でも早く接木を終えて湿度保持するためで、
  悠長に写真を撮って居られないからです

接木後の管理方法
ポリ袋を被せる場合 (スーパーなどで貰える袋です)
支柱 ポリ袋 [左写真] 支柱をたてポリ袋が穂木に触らない様にする
[右写真] ポリ袋の内側に霧を吹き湿度を与えて被せる

保湿箱に入れる場合 (温室製作時の余りのポリカプラ段で作りました)
バット 保湿箱 遮光 [写真左] 接木した苗をバットに並べます
[写真中] 苗に触らない様にしてカバーを被せる
[写真右] 温度上昇防止のため新聞紙をかける

いづれも内部に霧を吹いて湿度を保ちます

(1)活着するまで(2〜3日程度) 温度25〜35度位、湿度100%位を保つ
  温度が上がり過ぎない様に直射日光を避け日陰に置く
  2日位で活着したか、失敗したか分かります(ルーペで観察する)
  活着しなかった場合は、もう一度接ぎ直しします
(2)活着した場合は、1週間位かけて徐々に外気に慣らします
 ・早いものは1週間位で成長が始まります(刺や綿毛が出てくる)
 ・遅いものは1ヶ月以上成長が始まらないものも有ります
  この違いの理由は良く分からないが、台木と穂木の接続状態の差だと思います

活着するメカニズム (あくまでも私の推定です)
(1)台木と穂木の間は(主に)台木の樹液で満たされている
(2)台木と穂木の間に新しい細胞が増殖する
  (接続状態を観察すると)台木の中心部が盛り上がって穂木と接続している
  この時、穂木の断面に(乾燥などで)皮膜が出来たりすると穂木が持ち上がってしまう
  穂木の断面が綺麗に切れていれば、台木の増殖した細胞が密着してつながる

活着しない場合の理由 (あくまでも私の推定です)
(1)穂木が持ち上がる場合
 ・切断面が綺麗に切れていないため、切断面付近の細胞がつぶれて皮膜ができている
 ・湿度不足で台木と穂木の間が樹液で満たされていないため皮膜ができた
(2)台木と穂木の間に隙間ができる場合
 ・湿度不足で台木と穂木の間が樹液で満たされていないため皮膜ができた
 ・台木と穂木の間に新しい細胞が増殖しなかった(湿度不足、温度不足)
  台木の活性度が低い(台木が旺盛に生長していない時期の場合)
(3)穂木が乾燥してしなびてしまう場合
 ・湿度不足

接木のポイント
(1)旺盛に成長中の台木と元気の良い穂木
(2)良く切れる刃物(切断面の細胞を潰さない)
(3)短時間で作業する(乾燥防止)
(4)接木後の環境維持(湿度保持、適正な温度管理)


接木苗の管理方法
[失敗例][推定原因] (あくまでも私の推定です)
(1)兜の腰折れ (枯死)台木の衰弱
(2)兜錦(全斑)の枯死台木の衰弱、穂木の衰弱
(3)碧方玉錦(1)(全斑)の枯死台木の衰弱、穂木の衰弱
(4)碧方玉錦(2)の衰弱 (生き残りました)台木の衰弱、穂木の衰弱
(5)瑠璃兜錦(2)の衰弱 (かなり傷みました)台木の衰弱、葉ダニの食害
(6)その他のものも成長が止まりました台木の衰弱

原因は、多少根拠は有りますが、あくまでも私の推定です
[台木の衰弱]
  根詰まりによる根腐れ
  根ジラミの食害 (食害と言うより樹液を吸取られる害です)
[穂木の衰弱]
  葉ダニの食害 (食害と言うより樹液を吸取られる害です)
  寒さの害・穂木の生命力不足?
  全斑の穂木は生命力が弱く、寒さにも弱いと思われます (斑の多いものも同様)

かなりこじ付け(強引な関連づけ)ですが
  今回の主要原因は「根詰まりによる根腐れ」による[台木の衰弱]と思います
  台木が衰弱すると穂木も衰弱しますし、根ジラミや葉ダニの害も受け易くなります

対策として台木の衰弱で成長が止まっているものを植え替えてみました
  まだ回復途中ですが、成長が始まり効果が出てきました

  全斑の穂木など生命力が弱いものも台木を健全に保つ事により
  寒さや害虫・病気等の耐性を高められると思います

鉢の抜取
鉢の抜取
根を解す
根を解す
根の整理
根の整理
左:鉢から抜いた状態
中:周りと底の根をほぐした状態
右:根を鉢に収まる様に整理

鉢から抜いてみると根がトグロを巻いて根詰まりを起こしていました
  又、一部根腐れを起こしている部分や根ジラミが発生していました
  根腐れや根ジラミが発生した部分を取り除き根を整理して
  新しい用土で植えつけます 植え付けたら乾燥しない様に水やりしておきます

キリン団扇は成長が非常に速いため、根も同様に成長し根詰まりを起こし易いです
  頻繁に植替えが必要となります (1年に2回位必要か?)
  とにかく、原因不明で成長が止まったら根を調べて、植替えの判断をします
  根を切り更新させると、地上部も成長が始まります
  必要ならば、地上部の大きさに見合った一回り大きな鉢に植替えします

当然の事ですが、鉢や用土、水やり等は台木を育てる条件・環境にします
  通風・湿度や光線等は穂木の条件・環境に合わせるべきでしょうが
  台木と穂木の兼ね合いで決めた方が良いかも知れません
  (例えば、刺ものは強光線が必要など)






Home > Old Cactus > キリン団扇台の接下ろし方法 [2013/07/21]
キリン団扇台の接下ろし方法 (How to layer)

接木後1年余、やっと開花サイズになりましたので「接下ろし」してみました

キリン団扇の接下ろし
  キリン団扇の増殖方法とは以下の点で条件が異なっています
  (1)キリン団扇の台木は年数を経ると落葉してしまっている
    落葉する心配は無いので切り口を乾燥させる
  (2)穂木がある程度大きくなっていれば、発根するまでに必要な
    養分は十分にある

鸞鳳1下し 碧瑠璃鸞鳳
[2013/06/20] 穂木が重く不安定なため接ぎ下ろす事にします
  穂木の下約2cm位でカット
  カット面を綺麗に仕上げ、発根促進剤を塗布して
  赤玉土のポットに挿しておきます (まだ水やりはしません)
[2013/07/02] 発根してきましたので水やりを始めます
  (気休めに塗布した) 発根促進剤の効果は、比較対象が無く不明です
[2013/07/09] 水やりを始めて一週間、太い根が伸び出した  刺座付近からの発根が多い様です

兜7下し 赤花系兜
[2013/06/20] 穂木が重く不安定なため接ぎ下ろす事にします
  上記ヘキルリランポーと一緒に同じ処理をしました

[2013/07/09] 水やりを始めて一週間、太い根が5本伸び出した


キリン団扇の取り木
  切り取ってから発根させるより確実な予め発根させてから切り取る方法として
  樹木などで行う「環状剥皮による取り木」を試してみました

  環状剥皮は樹木と異なり、木質部の硬い部分が無いため注意が必要です
  環状剥皮する幅は一般的な幹径の1.5倍位とします
  なるべく髄を傷付けない様に慎重に、それより外側の肉部分を削り取ります
  挿木の時と同じ様に、おまじないとして上側の断面に発根促進剤を塗布します

  約2週間程で環状剥皮した下部からは脇芽が、上部からは根が出てきました
  根が乾燥しない内に上部を切り離し、根を折らない様に気をつけて
  用土に植え付けました

取り木 緋牡丹錦
[2013/07/06] 環状剥皮を実施
[2013/07/17] 下部から脇芽が出た
[2013/07/20] 上部から根が出た
[2013/07/20] 上部を切離し用土に植付

発根する場所
  葉は刺座の中央から出ています 葉の上に直刺がありその上から脇芽がでます
  根はその脇目が出るあたり、又はその左右から出てきます
  カットして植え付けると切り口からも発根して来ます
  ランポーの例では穂木のすぐ下の台木からも発根しています

発根 [ランポーの例]
 ・刺座のすぐ上から発根
 ・切り口から発根
 ・接続部の下から発根
 
発根 [兜の例]
 ・刺座のすぐ上から発根
 ・切り口から発根
 
 
発根 [緋牡丹錦の例] (取り木)
 ・刺座のすぐ上から発根
 
 
 






Home > Old Cactus > キリン団扇の増殖方法 [2013/06/20]
キリン団扇の増殖方法 (How to make a cutting)

キリン団扇の入手方法
  栽培・販売している業者さんはあまり見かけませんが
  ネットオークションなどには時々出品される様です
  現在出品されているどうか ここ から検索できます
  私の場合は、たまたま知合いの方から分けて頂きました
挿木で増やす
キリン団扇は一般のサボテンと異なり、切り口を乾燥させない様にします
水を切らすと萎れたり落葉しますので、用土が乾かない様に水やりします
挿木(水挿し)してから台木にできるまで約1.5〜2ヶ月位かかります

私の挿木方法は、接木をした台木から出てくる脇芽を切り取り水挿しをしています
「水挿し」とは切り取った穂木の切り口を水に入れておくと、そこから発根する事です
長さは好みですが5cm位が適当です あまり長いと接いだ時に高くなり過ぎて不安定です
1cm位でも発根して成長しますので、切り取った脇芽は全て水挿ししています

水挿
写真@
発根
写真A
鉢上1
写真B
鉢上2
写真C
鉢は7.5cmビニルポット
用土は赤玉土と腐葉土
活着後追肥(マグアンプ)
 を与える

写真@上右、下左:短い穂木は鉢皿に水を入れその中に挿しています
写真@上中:少し長めのものは倒れない様に紙コップに水を入れ数本づつ挿しています
写真@下右:発根を始めたもの
写真@上左:発根した苗を鉢上げしたもの

写真A:水中で発根している様子

写真B左:発根した苗を鉢上げした直後のもの
写真B中:鉢上げ後2週間程度のもの(この位で台木にできます)
写真B右:実生苗を接木して活着した状態のもの
      接木する時は「写真B中」の様に先端の葉はまだ小さいですが
      活着する頃には先端の葉は見違える程大きくなります
      十分に日に当て肥料と水を与えるとガッチリした台木になります

写真C:発根した苗を鉢上げして数日後のもの 先端が伸び始めています
      鉢土の表面に見える白いものは肥料(マグアンプ)です
      
      



【クローズアップ画像に付いて】  ・拡大表示画像は480×360, 640×480, 800×600画素等です   (VGA〜XGA サイズの画面でご覧頂く事を想定しています)   必要な場合は、Photoshopで色調補正・自動レベル調整をした後、   縮小専用(Download)で、JPEG量子化率50%ととして画像圧縮しています  ・マクロレンズ1倍(最短撮影距離)で撮影した場合   17.3×13.0mm(撮像素子のサイズ)の範囲が写ります   画面上で寸法を測り比例計算すれば実際の寸法が計算できます 【撮影機材データ】   カメラ    OLYMPUS PEN E-PL1   マクロレンズ OLYMPUS ZUIKO DIGITAL 35mm 1:3.5 MACRO          FOUR THIRDS ADAPTER MMF-2          撮影倍率 1:1(等倍)まで撮影可能
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