19年前に建てた老朽化したビニール温室を建て替えた時の記録です 【 0 】老朽化 [1]木骨のためコンクリートブロック基礎に接する部分の腐りが目立つ [2]出入り口の開口部が傾いていて戸を閉める時、傾きを直しながらでないとロックできない (写真左上・右下) 戸を閉めても隙間が出来て密閉度が悪い [3]母屋を建替える時、重機で南東角の柱をへし折られて、(13年間)応急修理のままになっている [4]屋根や側面の光線透過率が落ちてきて張替え時期になっている [5]内張りが所々はがれて断熱性が落ちている 等々きりがありません 【 1 】目標・計画・結果 [1]広さ・形状・材質 .................... (結果:ラン室1坪+サボ室0.5坪) (広さ) 建替えるからには、余裕を持たせた広さにしたいのですが、 暖房などの維持費や設置スペースを考えると無闇に広く出来ません。 内部の使い方を一段と工夫することにして、面積は現状維持の1坪(3.3平米)とします。 育成環境の異なるサボテン用を0.5坪追加して1.5坪(約5平米)とします。 (形状) 従来と同じ片屋根式、日当たりの良い南側に0.5坪増やしました。 棟高・軒高とも変えませんので屋根勾配は緩やかになりました。 (材質) 従来はコンクリートブロック基礎に木骨・ビニール張りですが、 耐久性を向上させるため鉄アングル材の骨にポリカ段ボール張りとします。 [2]費用 .................... (結果:材料費7万円以下) 手持ちの材料を出来るだけ使い、購入品を減らす。 耐久性の有る物を使い交換・修理を減らす。 鉄アングル材は使い古しが少し有りましたのでこれを再利用し不足分を買い足しました。 材料費に占める割合の大きいものは、ホームセンターと通販を比較して早く安く入手できる方を選びました。 (通販:ポリカ段ボール、ホムセン:ポリカ波板・鉄アングル材) [3]最低温度 .......... (結果:最低気温 外気:-5.2度(1日だけ)、ラン室:5度、サボ室:0度) 実質の最低気温は 外気:0〜-3度、ラン室:7度、サボ室:2〜4度 でした。 最低温度を確保し暖房費を減らすため、空気層を多く作り断熱性を良くし、 隙間を無くし密閉度を上げて熱を逃がさない様にする。 (屋根面) ポリカ波板、ポリカ段ボール、ビニール内張り (壁面) ポリカ段ボール、ビニール内張り(一部はポリカ段ボール内張り) (開口部) ガラスサッシ、エアーパック(プチプチ)カーテン、ビニールカーテン [4]雨水の利用(新しい試み) .................... (結果:実用化試験としては成功) 温室内で使う水の一部でも賄えればと思い計画しました。 雨水は弱酸性で、水道水に比べて溶融酸素も多く温度も気温に近いため、 水やりには理想的です。 新しい温室の屋根面積は約5uですので、ポリゴミ箱再利用の雨水タンクは約70Lで 14mmも雨が降れば満タンになります。 当地(愛知県中央部)の雨量は、年間の最も少ない時期の12月(35mm)〜2月(40mm)では水やりの量も少ないため、 夏場で最も少ない8月で月間95mm位ですから、雨が定期的に降れば毎日16L位の水が使える計算になります。 実際には晴天が続くとタンクは空っぽ、夕立がくると満タンになってオーバーフロー (タンク容量不足!) してしまいます。 (今後の課題) タンク容量の拡張、初期雨水の処理改善(沈殿物除去) 【 2 】設計 [1]図面 .................... (CADで書いてみました) 構想を形にする時は、CAD(パソコンで製図する)を使ってみました。 形が正確に書けるので思い違いによる寸法間違いが少なく、 形状や寸法の変更が簡単にできるなど、とても便利です。 AUTOCADが定番ですが、フリーソフトの「JW」などで十分です。 私はWindows3.1時代(とても古いです)から愛用してる「MegaCAD Lt1.5」を使いました。 Windows3.1・日本語版 (独Megatech社製、今は当然サポートされていません) を使っている理由は画面で図面を見る時、指定した線の太さがその通り表示されるので直感的に分かります。 AUTOCADなどでは、画面上では全て同じ太さで表示されプロット(印刷)しないと 線の太さは表現されません。 CADは形を作り、PLOTが線の属性(太さや破線など)を決めるからです。 [2]材料のリストアップと調達 .................... (主にホームセンターで購入) 殆どの材料は最寄のホームセンターで購入しましたが、ポリカ段ボールは必要な枚数(15枚)の在庫が無く、 取寄せを頼むより通販で購入した方が早く安く(約4割引きで)入手できました。 [3]組立準備 .................... (手書きメモで) 【 3 】建設 [1]着工(2011/10/30〜) .................... (寒くなる前に完成予定) 増設部の基礎ブロック積み(10/30,31) 休工 (セメントの固まるまで) 木造温室(既存)の分解取壊し(11/04) 既存基礎部の手直し、再利用部品(出入口のアルミサッシ等)の整備(11/06,07) Lアングル組立、アンカー固定、サッシ枠固定、換気扇固定(11/08〜11) 屋根部組立(ポリカプラダン、ポリカ波板・波板パッキン等の固定(11/14〜16) 側面ポリカプラダン固定・アルミテープで隙間塞ぎ(11/17〜21) 換気・暖房の試運転(11/20) ビニール内張り(11/22) 置棚固定(11/23) ..... 【ほぼ完成】 手直し・改善など ビニール内張とポリカプラダンとの密着防止(11/27) 雨水タンク設置(11/28) 雨水タンクオーバーフロー改良(12/02) 隙間塞ぎ、(押込側)換気扇のフード作成(12/06) エアパック(プチプチ)でガラス戸内張り(12/17) [2]工事中の写真 .................... (詳細は こちらで ご覧頂けます) [3]搬入(2011/11/21〜) .................... (寒くなる前に間に合いました) 植物搬入(11/21〜25) 室内整理(11/26〜12/02) 【 4 】失敗した事・次回改良したい事 [1]基礎 .................... (平面ではなかった) 既存部の基礎の水平が出ていなかったのに、増設部は水平をきっちり出したので、 既存部と増設部のつながりが「へ」の字型になってしまった。 その結果、側面と屋根が歪んでしまいました。 無理やりワイヤとターンバックルで補正しましたが、基礎から直さないと 完全には直りませんでした。 基礎の「水平・平面・直角・寸法」をしっかりと作り、柱を垂直に立てれば、 (Lアングル等の材料の寸法はそろっているので) 正確な建物が出来ます。 [2]密閉構造 .................... (冬仕様のため夏は暑すぎる) もともと冬季に、カトレア等洋ラン類を越冬する目的で製作したものなので、 初夏から初秋までは使い道がない。 次回は窓を復活しつつ、密閉度を上げる工夫をする。 [3]蓄熱 .................... (加温無しでは室温が外気温近くまで下がる) 母屋のソーラシステムは床下のコンクリート蓄熱体に蓄熱し夜間に室温を保っている。 昼間に温まった空気を換気で捨てているが、これを蓄熱して夜間まで取って置けないか? 次回試してみたい。 [4]雨水タンク .................... (容量拡大、清掃の容易化) サボテンへの水やりには十分でしたが、1度雨が降ると直ぐに満杯になり、 せっかく取水してもオーバーフローで捨ててしまった。 タンク容量をもっと大きくしたい。 沈殿槽と貯水槽を分けて清掃し易くする。 |